100%源泉かけ流し温泉って実は極わずか!源泉かけ流し温泉と、天然温泉の関係は?
コト 2019.12.18 by G-lip E 編集部
「週末は温泉に行ってゆっくりしたい」と思って、インターネットやガイドブックで温泉探しをしていると「源泉かけ流し温泉」という言葉を目にすることはありませんか?
詳しいことはわからなくても何となくイメージがよいため、源泉かけ流しの温泉を選んでいるという方も少なくないですよね。
せっかく温泉へ行くなら、源泉かけ流しの定義や意味を知り、こだわってみたくありませんか?
そこで、この記事では源泉かけ流しの定義や効能、源泉かけ流し温泉と、そうではない温泉の見分け方について解説します。
源泉かけ流しの特徴を知って、温泉にこだわり、楽しみましょう!
実は「源泉かけ流し温泉」に厳密な定義はなく、温泉協会や温泉ガイドブック、旅行サイトなどがそれぞれに定義をしています。
一般的には「温泉法で定められた温泉の源泉が常に浴槽に注いでおり、あふれたお湯を浴槽に戻したり浴槽内で循環ろ過をさせたりしていない温泉」のことを指しています。
源泉かけ流しの温泉にもさまざまな種類があるため、詳しく見ていきましょう。
そもそも温泉とはなにか?
日本では、温泉の定義は「温泉法」という法律で定められており、地中から湧き出したときの温度が摂氏25度以上あれば温泉となります。
また温度が25度未満でも、指定された物質を指定量以上含有していれば温泉と認められるのです。
温泉の中でも「特に治療の目的に供し得るもの」として、特定の物質を指定濃度以上含有するものは「療養泉」と呼ばれており、一般的な温泉よりも指定物質の含有量は高くなっています。
加水・加温した温泉も「源泉かけ流し温泉」となる
温泉に水を足したり、温度調整をしたりするなど、人工的に手を加えたものは源泉かけ流し温泉ではないと思っている人もいるのではないでしょうか?
実は源泉かけ流し温泉でも、加水や加温をしている場合があり、源泉かけ流しの定義は、温泉法には記載されていないため明確ではありません。
そのため温泉の源泉が常に浴槽に注いでおり、浴槽内のお湯を再利用したりしていなければ、加水や加温をしていても「源泉かけ流し温泉」を名乗れるんです。
「日本源泉かけ流し温泉協会」でも、源泉かけ流しの加水・加温について「入浴に適した温度にするため、泉質を損なわない範囲での最低限の加水・加温は認める」としています。
しかし加水・加温に関しても、各協会や温泉ガイドブック、旅行サイトで定義が異なるため、一概にはいえないことが現実です。
源泉近くの湧出量が豊富な温泉でも、加水・加温している場合がある
絶え間なく源泉が注がれ、中に入るとざぶんっとお湯が溢れる瞬間は温泉の醍醐味ともいえますね。
このような源泉かけ流し温泉を維持するためには、豊かな湯量が必要になります。
さらにお湯の温度も正確にコントロールされていなければ、快適に入ることができません。
湧出量が豊富な源泉近くの小規模な温泉であれば、源泉をそのままかけ流しにすることもできますが、大型の温泉施設では温度を安定させるため、加水や加温を取り入れているところもあります。
豊かな源泉が近くにあるからといって、必ずしも加水・加温をしていないというわけではないんです。
お湯を再利用する循環式の温泉は源泉かけ流し温泉ではない
温泉の中には、浴槽内でお湯を循環ろ過させているところもあります。循環式の温泉は、源泉を引いていても「源泉かけ流し温泉」とはいえません。
しかし循環式の温泉は、ろ過して不純物を取り除いたり、塩素消毒をして湯船にお湯を戻しているため、レジオネラ菌の発生を抑えることができるなど衛生面でのメリットもあります。また施設の掃除がしやすく、清潔に保ちやすいこともメリットの1つといえます。
コンピューターによる温度管理もしやすいため、新しくできた大型温泉施設では循環式を取り入れるところも増えてきています。
これが最高級 100%源泉かけ流しの天然温泉を知ろう!
源泉かけ流しの中には、加水・加温をしているケースもあることを紹介しましたが、中には「100%源泉かけ流しの天然温泉」と表記する温泉を見かけることもあります。
このような温泉は、一般的な源泉かけ流し温泉とどのような違いがあるのでしょうか?
ここからは「天然温泉100%」や「源泉100%」の定義について解説します。加水・加温・循環をしている温泉との見分け方も紹介するので、ぜひ温泉選びの参考にしてください。
源泉をそのまま利用したものが100%源泉掛け流しの天然温泉
「天然温泉100%」や「源泉100%」と表記する温泉は、読んで字のごとく加水・加温・循環を一切していない、かけ流し式の温泉のことを指します。
源泉に手を加えずそのまま浴槽に流し入れる、一般的な「源泉かけ流し温泉」のイメージに一番近いものが、天然温泉100%や源泉100%と表記された温泉ではないでしょうか?
湧き出た温泉の成分をそのまま楽しむことができるため、最も贅沢なお湯といえますね。
なお加水・加温・循環などの手を加えることはNGですが、厚生労働省告示を遵守した塩素殺菌消毒を行っている場合でも、「天然温泉100%」「源泉100%」を表示することができます。
天然温泉100%や、源泉100%の温泉にこだわりたいときは、湧出量が豊富な源泉のある温泉地に行くことがおすすめ。しかし日本有数の温泉地であっても、加水・加温・循環を一切していない100%源泉かけ流しの天然温泉はそれほど多くありません。
源泉100%のかけ流し温泉を探す際は、各温泉のHPなどで「天然温泉100%」や「源泉100%」の記載の有無をチェックし。その際しっかりと、加水・加温・循環をしておらず、放流式(かけ流し式)であることが明記されている温泉を選ぶと安心ですね。
加水・加温・循環したものは天然温泉の単独表記はできない
源泉かけ流し温泉でも、加水・加温・循環をしているものは、単純に「天然温泉」と表記することはできません。それぞれ「天然温泉(加水)」天然温泉(加温)」天然温泉(循環ろ過式)」と記載することが義務付けられています。
近年、都市部に増加している「天然温泉」は、温泉施設の付近に源泉はなく、別の土地から汲み上げられた源泉を運び入れているものがほとんど。そのため加水・加温・循環ろ過をしていることも多く、このように天然温泉単独ではなく注意書きが一緒に記載されています。
温泉の表記を見ることで、源泉100%のかけ流し温泉なのか、そうではないかを見分けることができます。
100%源泉かけ流しにこだわるよりも泉質が重要
源泉100%のかけ流し温泉は、湧き出た温泉水をそのまま使用しているため、温泉成分の効果をダイレクトに感じやすいでしょう。
加水・加温・循環式の温泉よりも高いリラックス効果や疲労回復効果、ストレス解消効果も期待できます。また贅沢なお湯にこだわることもできますね。
しかし源泉100%の温泉は、泉質によっては肌に刺激を感じてしまう人もいます。
肌や粘膜が敏感な人は、泉質が酸性泉や硫黄泉の源泉では「湯ただれ(皮膚炎)」を起こすこともあるため注意をしたほうがいいでしょう。
温泉の泉質には「単純温泉」硫黄泉」塩化物泉」酸性泉」炭酸水素塩泉」硫酸塩泉」など10種類の泉質に分けられ、それぞれ成分や効能が異なります。
源泉100%のかけ流し温泉は魅力的ですが、自分に合った温泉を見つけるためには源泉100%かけ流しという条件にだけこだわるのではなく、温泉の泉質に注目することも大切です。
「源泉かけ流しの温泉を楽しみたい」というと山奥の温泉地まで行かなければいけないイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし実は都内にも、源泉かけ流しを満喫できる温泉があることをご存知でしょうか?
ここからは東京都内にある源泉かけ流し温泉を3つ紹介します。
都内近郊に住んでいる方なら、仕事終わりや週末にも訪れることが可能な場所ばかりなので、ぜひ源泉かけ流し温泉にこだわりを持ち、訪れてみませんか?
10種類の泉質を知り、効果を選ぼう
前野原温泉 さやの湯処
うぐいす色のにごり湯が特徴の源泉風呂は、弱アルカリ性で塩分濃度が高いナトリウム-塩化物強塩温泉です。
肌の保温効果が高いため湯冷めしにくく、冷え性などの症状に効果がある療養泉です。
源泉風呂は加水なしのかけ流しですが、温度調整のために加温をしています。
そのほか他にも露天風呂、内湯、離れの湯など複数のお風呂が楽しめ、都会の中でもホッとひと息いきつけるような落ち着いた雰囲気の温泉です。
稲城天然温泉 季乃彩
地下1,700mから湧出する源泉をかけ流しにした露天風呂が魅力的な温泉です。
泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉で、肌の余分な角質、毛穴の汚れを取り除きツルツルにする効果が期待できますします。
源泉かけ流し温泉以外にも、肌がしっとりするナノ水を使用した内風呂や炭酸泉もあり、さまざまなお湯が楽しめる温泉施設です。
SPA&HOTEL和-なごみ-
真っ黒なお湯が印象的な源泉かけ流しの大浴槽は、美人の湯や美肌の湯といわれるナトリウム-炭酸水素塩泉です。
皮膚の表面を軟化させ、肌をなめらかにする効果があります。
温泉成分に含まれる塩化物により、肌の保温効果も高く湯上り後も体がポカポカすることが特徴です。
源泉かけ流しの温泉 まとめ
源泉かけ流し温泉は、源泉100%や天然温泉100%といった加水・加温をしていないものから、温度調整のために加水・加温をしているものまで幅広くあります。
循環ろ過を取り入れている温泉もありますが、循環式温泉は源泉かけ流し温泉には含まれません。
自分の肌に合う泉質の温泉を見つけて、ときには源泉100%のかけ流し温泉で、自然から湧出した温泉そのものにこだわってみたり、加水や加温で快適に入れる大型温泉施設を楽しんだりするのもよいですね。
100%源泉かけ流しなのか、そうではないのかは、温泉施設の表記で見分けることができます。療養泉には泉質の記載もあるのでチェックしてみましょう。
ぜひ源泉かけ流し温泉の知識を身につけて、こだわりのある温泉を楽しみましょう!