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カッコいい革靴を知ろう 10年履ける大人の革靴選び

モノ 2020.07.17 by G-lip E 編集部

ビジネスマンにとって革靴はただのファッションアイテムではなく、パーソナリティを表す重要なもの。ビジネスシーンでの第一印象で、相手を判断する要素の1つにもなります。

 

しかし、どんな革靴をどんな基準で選び購入したら良いのか分からなかったり、購入後の保管方法を知らず、高価な革靴を大雑把に扱ってしまっていることも少なくありません。

 

また、リーズナブルな価格で購入できる革靴が増えた現在で、こだわりの一足を大切に履き続ける人が減少しつつあります。

 

そんな革靴の『10年履ける革靴の選び方』や、それに伴う『革靴の保管』などについて、パーソナルスタイリストとして活躍する、エレガントカジュアル代表の森井さんにお伺いしました。

 

愛着の持てる一足は、履く人の魅力を引き出し輝かせてくれるもの。長く付き合える革靴を求める方は参考になる内容が満載です。

 

〈インタビュアー:イノウエ〉

あなたの第一印象を表す ビジネスシーンにおける革靴の役割とは

イノウエ

ビジネスシーンにおける商談など場面では、相手の目が向きやすい足下にこだわる方も多いと思いますが、革靴が相手に与える印象は、実際どれほどなんでしょうか?

森井さん

そうですね、昔から「足元を見る」という言葉があるように、履く人の考え方や立場が滲み出るのが革靴だと思います。

ジャケットや時計がピシッとしていても足元がボロボロだったら余裕がない印象に見えてしまいますね。

本名:森井良行(もりい よしゆき)会社員経験を経てパーソナルスタイリストとして独立。現在は一般社団法人「服のコンサルタント協会」会長を務める。4500人の服選びに同行し、ファストファッションからハイブランドまでを上手に取り入れた「着こなしのメソッド」を確立した。最新の著書は『38歳からのビジネスコーデ図鑑: 真似するだけで印象が劇的によくなる』。

イノウエ

では、初対面でも「印象が良く見える」革靴っていうのはどういった物になりますか?

色や形、ツヤなども関係してくるんでしょうか?

森井さん

値段よりも「しっかり手入れされているか」という点が重要だと思います。

イノウエ

手入れされているというと、傷がなくピカピカな状態を思い浮かべてしまいます…。

森井さん

傷やツヤも大事なんですけど、踵の手入れが大切ですね。
すり減っていたり、踵の中身であるくず革が見えていたり。磨けているかと同じくらい踵は目立つところなので、「全体的な雰囲気はすごく良いのに、靴だけ違和感がある」といったことも起こりやすいんです。

なので、値段よりも日頃の手入れができてることが長く履き続けるためには重要になってきます。

イノウエ

踵の状態は、見る人が見れば手入れされているかわかってしまいますか?

森井さん

踵の状態と、表面がピカピカしているかという点で、「見る人」でなくてもわかってしまうと思います。

イノウエ

僕は、仕事柄スーツをあまり着ないので、あまり気にしたことがなかったです。
でも、普段から革靴を履く方であれば、日頃から手入れをすることで、相手に与える印象も変えることができそうですね。

革靴の基本、10年経っても愛用できるデザインとパターン

森井さん

そうですね。革靴の製法では、「10年履ける大人の革靴」という目線で選ぶと、グッドイヤーウェルト製法やマッケイ製法で作られた、ソールや踵の交換ができるタイプがおすすめです。

セメント製法の革靴はどうしても消耗品になってしまいます。

イノウエ

踵やソールを交換する時期は一般的に、どのくらいなんでしょうか?

森井さん

履き方にもよりますが、1度のソール交換で、2〜3年は使用できるといわれています。

イノウエ

一度のソール交換で2〜3年も履けるようになるんですね!
森井さんはどれくらいの周期で、ソールを変えてるんですか?

森井さん

僕が履いている革靴の踵は、ゴムで交換できるタイプということもあって、まだ踵しか変えたことがないんです。
それでも、ゴムの部分も3回ほど交換すると、土台の部分も次第に傷んでくるので、そのタイミングでオールソールを行おうかと思っています。

踵のみゴムの交換ができるようになってました。

イノウエ

そうなると、大切に履こうと日頃からメンテナンスを続けていれば、一足の革靴を長く履き続けることができますね。

森井さん

そうなんです。
でも僕は以前も、マッケイの靴を履いていたんですけど、オールソールをする前に、もう1度同じ靴を買わなければならない事件を起こしてしまったんです(笑)。

イノウエ

同じ革靴を購入されたということですか…?

森井さん

これはみなさんに本当にお伝えしたいんですけど、どんなに高価な靴でも濡れたまま放置するとカビが発生してしまうので、手入れをさぼると本当に酷いことになります。
僕の場合、カビの生えた靴を何度か天日干しを行ってみたんですけど、「水虫になったら嫌だな」と思って…、それで買い直しました。

イノウエ

なるほど、日頃の履き方以前に、保管方法などでも、靴の寿命は大きく変わってくるんですね。

森井さん

車でいえば廃車にしてしまったことになるので、日頃からのメンテナンスは重要なんだとこのとき痛感しました。

イノウエ

「長く使う」という目線で見たとき、革靴のデザインやパターンはどんなものが良いでしょうか?

森井さん

ストレートチップが1番使えると思います。スーツというものが出てきてからずっと変わらない、何十年も変わっていない「ど定番」がストレートチップ。

主流として変わらないので、ストレートチップの中での変化を考えたとき、僕は「ドレス感のあるステッチがないもの」といった見方で選んだりします。

イノウエ

やっぱりど定番のストレートチップですね。
流行り廃りのないおすすめの色はありますか?

森井さん

黒は必ず一足は必要ですよね。二足目を買うなら茶系もありなんですけど、僕が「意外と使えるな」と思っているのは、ワインレッドなんです。

明るすぎる茶色は、普段着ることの多いダークスーツだと革靴だけ明るすぎて足元が浮いたて見えてしまうので、暗さを保ちつつ彩りがあるものと考えると「ワインレッド」かなと思います。

イノウエ

ワインレッドの革靴を履いている人ってあまり見たことがなくて、すごくおしゃれな感じがします。

森井さん

そうですね、でも、赤寄りのワインレッドではなく、あくまでも茶色の範囲内のワインレッドが、すごくおしゃれに見えるんですよ。

イノウエ

今まで自分の中では、革靴といえば黒か茶色しかありませんでした。

革靴の色選びって案外難しいイメージがあって、「この色が好きだな」と思っても「好みで買っていいものか?」「組み合わせを優先して買うべき?」と悩んでいたんです。

森井さん

僕は普段の組み合わせ前提で革靴を買うべきだと思います。自分好みだけで買っちゃうと、コーディネートのパターンが思いつかずにお蔵入りしちゃうケースが多いです。

それでも、こだわった色の革靴が欲しいのであれば、何度もお店に足を運び、自分の手持ちのスーツなどと合わせてみると良いですよ。

イノウエ

ちょっと手間がかかりますけど、色のバランスはそれくらい重要ということですね。それに、長く履ける革靴は安い物ではないと思うので、慎重に選び大切に履き続けられる革靴に出会えたら良いですね。

本当に1足で大丈夫?革靴の性質と革に最適な保管方法

イノウエ

森井さんの失敗談は先ほどお伺いしましたが、革靴長く履き続けるために大切なことはありますか?

森井さん

型崩れを防ぐためにシューツリーはマストですね。それに、頻繁に履かなくて奥にしまいこんでいる革靴はたまに外へ出して、状態を確認してあげると良いですよ。

イノウエ

頻繁に確認するようにすれば「ひび割れるまで気がつかない」ということを防げますね。

森井さん

ひび割れ防止のためにクリームを塗ることがあっても、塗りすぎも良くないので、1ヶ月に1回くらいが良いと思います。

でもクリームは、塗ることよりも塗った後の拭き取りが大切なんですよ。

イノウエ

塗り込むというか、「磨く」というイメージですか?

森井さん

そうですね。シューケアセットを買うと、ミトンという手袋がついていると思います。最初にザラザラしている面で磨き、きめ細やかな面で拭き上げることでピカピカになります。

それをやらずクリームだけ塗って、栄養を与えるだけで終わってしまうと、キレイなツヤが出ないんです。

イノウエ

なるほど…。
ちなみに、1度ひび割れてしまったものはもう治らないですか?

森井さん

厳しいですね…。

イノウエ

僕が使っている革靴の一足が、ひび割れしはじめてて、年に数回しか履いていないから、今お話を聞きして「あれ…もしかしてこれ治らないやつ?」と軽くショックを受けています(笑)。

森井さん

とりあえず、栄養をあげてみてください(笑)。

イノウエ

そうですね、おすすめのクリームはありますか?

森井さん

クリームにもさまざまな色がありますが、よほど色が剥げてきているとか、気になる部分に色を入れるというのも良いですけど、僕は透明で良いと思います。

そもそも、それほど簡単に色落ちするものではないですし、茶靴であればエイジングやアンティーク感を楽しむという考え方もあるので、透明で良いと思いますよ。

革靴のメンテナンスを知り、長く大切に使おう

森井さん

後はやっぱり、濡れたあとのケアが大切ですね。新聞紙入れて、壁に立てかけること。

僕はこれをサボってカビが生えたんで(笑)。

イノウエ

そうでしたね(笑)。
履き方や歩き方ではどうでしょうか。歩き方でも内側が減りやすい、外側が減りやすいというのがあると思うんです。

森井さん

歩き方による偏りはある程度仕方がないものです。
靴屋さんも「バランスよく綺麗にすり減る人はいない」と仰っているので、減り方をみながら、定期的にソールのメンテナンスをすることが重要ですね。

イノウエ

なるほど。履いている時より、履いていない時が重要なんですね。
それでいうと、雨の日に家を出る前にする「防水スプレー」はありですか?

森井さん

はい、防水スプレーは僕もやってます。でも、僕が通う「千葉スペシャル」(靴磨きのプロ集団)さんから「自分が何を塗っているのかを理解して塗ることが大切」と聞きました。

革靴は塗ったものが染み込むので、気になる方は「防水スプレーをせずにピカピカに磨く」だけの方が良いかもしれません。スウェード地のものだったら気にせず塗って良いですけどね。

イノウエ

素材によっても、メンテナンスのやり方を変えることが大事なんですね。

すぐにでも実践できそうな内容ばかりで勉強になりました。今日はありがとうございました!

まとめ

10年履ける革靴とは、単に「長持ちする革靴」ではなく、様々な思い出の詰まった戦友のような存在。そんなアイテムがあれば、仕事のモチベーションも上がるかもしれません。

森井さんのお話から「上質な革靴は丁寧に手入れを行なえばそれに応えてくれる」と学ぶことができました。

 

また、10年履ける革靴は、「モノに愛着を持ってしっかりと管理できる」というパーソナリティーを表すものでもあるといえます。この機会に、あなたが心から大切にしたいと思える革靴を探し始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

<ライティング/わたやみき@misaki_wn>

<編集/イノウエ>

<撮影/九鬼>

今回の取材にご協力いただいたショップ【TOKYOTAILOR】さん 「今までに着たことがない最高のスーツ」であり、「着る人の魅力を最大限に引き出すスーツ」を提供する。「メイドインジャパン」と品質・着心地・シルエットにこだわり続けるのは、着る人のことを第一に考えている。渋谷区千駄ヶ谷に店舗を構え、来店に加え会社・自宅への訪問も行われています。
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