温泉独特の香りがする硫黄泉の特徴は?硫黄泉の効果と、湧き出る関東の硫黄泉
コト 2019.12.19 by G-lip E 編集部
温泉地を訪れると、独特のにおいを感じることはありませんか?
この匂いを嗅ぐことで「温泉に来た気分が高まる」という人も多いですよね!これは硫黄泉と呼ばれる温泉に含まれる成分の匂い。
湯けむりと硫黄泉の匂いを感じながら、温泉街を散策するというのも趣があると思います。また硫黄泉は体や肌に嬉しい効能もたくさんあり、男女問わず人気の高い泉質の温泉です。
この記事では、硫黄泉の成分や効能について解説します。さらに硫黄泉に入る際の注意点、関東近郊で硫黄泉が楽しめる温泉も詳しく紹介していき、硫黄泉のこだわりについて知ってみましょう!
硫黄泉の匂いは、お湯に含まれる硫化水素によるものです。
硫化水素は卵が腐ったような独特の匂いがするため、中には臭いと感じる人もいるかもしれません。しかし印象的な匂いでもあり、温泉のイメージと結びつくため好きだ感じる人も多いですよね。
そこで、まずは硫黄泉について、定義や効能、お湯の特徴などを詳しく紹介します。
温泉水1kgに総硫黄量が2mg以上含まれる温泉
硫黄泉は「療養泉」と呼ばれる温泉です。
温泉の定義は「温泉法」という法律で定められており、その中でも「特に治療の目的に供し得るもの」を療養泉といいます。
療養泉は指定成分を指定量以上含有していることが条件となりますが、硫黄泉には「温泉水1kgの中に総硫黄量が2mg以上含まれている」という条件があります。
温泉水1kg中に総硫黄量が1mg以上含まれていれば『温泉』であると認められていますが、2mg未満の場合は療養泉である硫黄泉と記載することはできません。
硫黄泉は大きく分類すると、硫化水素を含まない「単純硫黄泉」と、硫化水素を含む「硫化水素泉」の2つに分けられ、独特な匂いが強いのは「硫化水素泉」になります。
温泉気分を盛り上げてくれる匂いとはいえ「硫化水素の匂いは刺激もあり、体に悪影響はないのか?」と不安を感じる方もいると思います。確かに硫化水素ガスは引火性もあり、吸い続けると中毒症状を起こすこともあります。
しかし硫化水素を含む硫黄泉を源泉とする温泉施設は全て、環境省が定めた基準をもとに安全な範囲内に硫化水素濃度が管理されているため、硫化水素を含む硫黄泉でも安心して楽しむことができるのです。
ただし体調によっては、硫化水素の匂いで気分が悪くなる人もいるかもしれません。硫黄泉に限らず温泉を訪れるときは、体調管理に気をつけましょう。
アトピーや便秘、美肌など効能がいっぱい(メリット、デメリット)
独特な匂いが魅力の1つである硫黄泉ですが、肌や体に嬉しい効能やメリットもたくさんあります。
温泉の一般適応症である冷え性や便秘、関節リウマチの改善に加えて、硫黄泉にはアレルギー性皮膚炎の1つであるアトピー性皮膚炎や慢性皮膚病、慢性婦人病、月経障害、動脈硬化、高血圧の改善などの効果が期待できます。
冷え性や便秘に悩む女性は多く、さらに慢性婦人病や月経障害などの効能もあるため、硫黄泉は女性から人気の高い温泉とされています。
また硫黄泉は「美肌の湯」と呼ばれることもあるため、女性を誘ってカップルや夫婦で訪れてみると喜ばれるかもしれません。
実はひとくちに「硫黄泉」といっても、硫化水素を含む・含まないことや、その他の含有成分によって泉質はさらに細かく分かれており、それぞれの泉質によって成分や効能、メリットやデメリットも違うため、各温泉地や温泉施設の泉質・効能をチェックする必要があります。
また硫黄泉と間違われやすい「硫酸塩泉」ですが、こちらは硫化水素ではなく硫酸イオンを含んだ別の泉質となり、効能も異なるため注意が必要です。
この記事の後半でも、こだわりの硫黄泉を紹介しています。それぞれの温泉地の泉質や効能も記載していますので、こだわる際の参考にしてください。
入浴前にチェック!硫黄泉に入浴する前に知っておくべき3つのコト
ここからは硫黄泉を存分に楽しむためのポイントや注意事項を3つ紹介します。
硫黄泉は女性にも人気が高く効能が豊富な反面、刺激を感じてしまう方もいる温泉です。また洋服や時計、アクセサリーにまで影響を与えてしまうというデメリットもあります。
カップルや夫婦の温泉旅行先に硫黄泉を選ぶときは、事前に注意事項を知っておくことで、スマートに旅行をエスコートできますね。独特な匂いや成分の影響についても上手に対処することで、失敗することなく硫黄泉を満喫できると思います。
刺激が強い温泉なので肌の弱い人にはやや不向き
肌や粘膜が弱い人は、硫黄泉に入ることで「湯ただれ(皮膚炎)」などの肌荒れを起こすこともあります。入浴する際は肌に異常が出ていないかを確認しながら、ゆっくりと入りましょう。
また温泉に入った後は、温泉成分を肌に残すため『あがり湯』をしないことが一般的ですが、肌が弱い方は硫黄泉に入ったあとに、シャワーなどでしっかり体を流してからあがりましょう。肌が繊細な赤ちゃんも、刺激が強い硫黄泉への入浴は避けた方がいいですね。
洋服についた硫黄の臭いは洗濯しても簡単にとれない
硫黄泉の独特な匂いは、洋服にも移りやすく洗濯をしてもなかなか落ちないこともあります。
硫黄泉を訪れるときは、デートや旅行であってもお気に入りの服装はなるべく避け、匂い移りをしても気にならない服で行くほうが安心です。
「せっかくデートで温泉旅行に行くなら、オシャレをしたい!」と思う女性も少なくありませんが、硫黄泉に行くときは匂い移りのリスクなどをさりげなく女性に伝えてあげることも大切ですね。
入浴前に腕時計やメガネは外すべし
匂いのもとである硫化水素は、金属を酸化して黒く変色させる作用があります。そのため腕時計やメガネなど金属を使用しているものは入浴前に外しておきましょう。
特に女性は、ピアスやネックレスなどをつけたまま温泉に入ってしまう人もいますが、硫黄泉ではアクセサリーなどの貴金属も変色してしまいます。
また入浴後も肌に温泉成分が残っている場合は、貴金属を着用すると変色する恐れがあります。大切な腕時計やアクセサリーは、入浴後もすぐには付けない方が安心ですね。
このように硫黄泉の効能だけではなく、リスクやデメリットも知っておくことで、デートや旅行でも失敗することなく温泉を楽しめると思います。
泉質別の入浴効果を知りたい方
日帰りでもOK!関東で代表的の硫黄泉で編集部が抜粋するこだわり温泉
ここからは関東近郊で硫黄泉を楽しめるおすすめの温泉を5つ紹介します。
東京都内から日帰りでも行ける温泉から、週末のプチ旅行に最適な温泉まで幅広くピックアップしました。
それぞれの温泉の泉質、効能はもちろん、温泉地で楽しめるグルメやレジャーの情報を紹介していますので、ぜひ旅行計画の参考にしてください。
箱根湯の花プリンスホテル(神奈川県)箱根『台風19号の影響で営業休止中』
関東の中でも人気の高い温泉地・箱根にある「箱根湯の花プリンスホテル」の温泉は、宿泊客以外も日帰り入浴を楽しめます。泉質は神経痛、筋肉痛、疲労回復などの効能がある単純硫黄温泉です。硫化水素を含まない泉質のため、匂いが気になる人も安心して入れると思います。
乳白色のお湯が特徴の露天風呂は、箱根で最も天空に近い温泉といわれており、温泉だけではなくゴルフも楽しめるため、ゴルフ好きなカップルにおすすめしたい温泉です。
万座温泉 日進館(群馬県)万座
東京からちょっと足を伸ばすと、日本一標高の高い温泉街・万座温泉を楽しむことができます。「万座温泉 日進館」は、硫黄濃度日本一といわれる酸性硫黄泉の温泉です。糖尿病、胃腸病、神経痛、リウマチなどさまざまな症状の改善効果が期待できます。
万座温泉は、紅葉狩りやスキーなど自然のアクティビティが楽しめる温泉地でもあり、旅行を兼ねて「日進館」を訪れるのもいいですね。には9つの温泉がありますが、日帰り入浴の場合は「万天の湯」円満の湯(貸切風呂)」の利用はできないため、確認してください。
同じ群馬県にある有名な温泉地・伊香保温泉には硫黄泉がないため、群馬で硫黄泉を楽しむなら万座温泉がおすすめの1つです。
大滝乃湯(群馬県)草津
豊富な湯量を誇る名湯・草津の大滝乃湯は、草津温泉の数ある源泉の中でも「美人の湯」と名高い煮川源泉を使用している珍しい温泉です。泉質は酸性硫黄泉で、関節痛、うちみ、ねんざ、美肌、慢性婦人病などに効能があります。
古くから草津に伝わる「合わせ湯」が満喫でき、ほかにも大浴場、露天風呂、貸切風呂とバラエティ豊かなお風呂がそろっています。
同じ群馬県で硫黄泉が楽しめる万座と比較すると、東京からのアクセスもよく気軽に訪れやすい温泉地ですね。
奈良田温泉 白根館(山梨県)身延
東京から新幹線と電車、バスを乗り継いで行くためアクセスは不便ですが、まさに山奥の秘湯といった雰囲気が楽しめる奈良田温泉の「白根館」。全国から温泉好きが訪れる名湯です。
総ひのき風呂の内湯と、石造りの露天風呂があり、山間の静寂の中でゆっくりと入浴を楽しめます。泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、神経痛、関節痛、慢性消化器病、冷え性、慢性婦人病への効能があります。
日帰り入浴は14:00~16:00と時間が限られているため時間にゆとりをもって行動するか、宿泊もできる温泉なので、カップルや夫婦水入らずで、都会の喧騒を離れ静かな夜を味わうのもいいですね。
中禅寺温泉 中禅寺金谷ホテル(栃木県)中禅寺
中禅寺湖のほとりに佇む歴史のある西洋風ホテルです。温泉街といった和の雰囲気もステキですが、カップルや夫婦の記念日には本格的な洋食と温泉が一緒に楽しめる「中禅寺金谷ホテル」もおすすめです。
「中禅寺金谷ホテル」の温泉は、含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉という泉質で、冷え性、アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)、慢性湿疹、皮膚乾燥症など肌への効能に優れています。紅葉や新緑、雪景色など四季折々の景色が楽しめる内湯と露天風呂が人気です。
館内のレストランではホテル伝統のフレンチをベースとした料理を楽しむこともできるため、特別感を味わいたい時にもおすすめの温泉です。
同じ栃木県内にある鬼怒川温泉には硫黄泉がないため、栃木県で硫黄泉に入りたい場合は中禅寺温泉を訪れてみるのもいいですね。
硫黄温泉について まとめ
温泉ならではの独特な匂いも楽しめる硫黄泉は、肌や体に嬉しい効能がたくさんある療養泉であり、美肌の湯ともいわれているため女性からの人気も高い温泉です。
温泉気分を満喫でき、効能も豊富な硫黄泉ですが、入浴する際には洋服への匂い移りや、貴金属の変色に注意しましょう。また硫黄泉は刺激も強いため、肌が弱い人は肌荒れが起きないかなど確認しながら入浴し、入浴後はあがり湯をすると安心です。
男性にも女性にも人気の硫黄泉は、関東近郊にも多数あり、硫黄泉にこだわる方もたくさんいらっしゃいます。各温泉の泉質や効能をチェックしながら、旅行の計画を立ててみてはいかがでしょうか!