キーワードで検索

G-lip 男の“気になる”を刺激するメディア

ゴリラクリニックのデザインに込めた“こだわり”とは

私たち 2019.07.09 by G-lip E編集部

全国に展開を進める男性専門の総合美容クリニック「ゴリラクリニック」の院内は、黒を基調としたインダストリアルな雰囲気でありながら清潔感のある空間を演出している。

美容クリニックと聞いてイメージしていたそれとは、かけ離れた内装に違和感を感じる人も多いのではないだろうか。
そして、ゴリラクリニックのビルサインを目にしたことがある方には、お馴染みのゴリラのロゴマークをデザインした男が、こうしてメディアに出るのは初めてのことだ。

彼が、ゴリラクリニックのクリエイティブに込めた意図とは一体、何なのだろうか?

今回は、ゴリラクリニックの創業から携わりデザインを担当する山下憂也さんに、普段のオフィスでは改まって語ることが無いであろうゴリラクリニックのデザインへの想いやこだわりを伺ってきた。

ゴリラクリニックのブランドを確立するための戦略

イノウエ

宜しくお願いします!
早速ですが、普段はオフィスでどんな業務をしているのですか?

山下さん

同じ社内でも僕が何をしているのか、知らない人って実は多かったりするんですが、ゴリラクリニックに関するほぼ全てのデザインというのが業務になります。

イノウエ

職種で言うとデザイナーになるのでしょうか?

山下さん

デザイナーでもありますが、正確にはクリエイティブディレクターです。
クリエイティブディレクターは、ブランド戦略から考える必要があるので、ただデザインだけをすれば良いというわけではないんですよ。

イノウエ

デザインは、ブランド戦略の一貫ということなのでしょうか?

山下さん

そうですね、デザインはマーケティングやブランディングの手段だと思っています。

イノウエ

なるほど。マーケティングの戦略に基づいたり、ブランドイメージに沿ったデザインをしていくのがクリエイティブディレクターということなんですね。また一つ賢くなりました(笑)
先ほど、山下さんが「ほぼ全てのデザイン」と 仰っていましたが、今までにどんなものをデザインされてきたのでしょうか?

山下さん

ゴリラクリニックを象徴するロゴをはじめ、院内の壁にある「Dr.ゴリラ」などのCI・VI※領域。
クリニックの看板・内装、院内ツール、診察券、オブジェ、などの空間・プロダクト領域からWebサイトやチラシ・パンフレット・チケット・名刺などの販促物周りのデザイン
までを横断的に担当してきました。

※CI...コーポレート・アイデンティティ
 VI...ヴィジュアル・アイデンティティ

イノウエ

そんなに一気に話されても覚えきれません(笑)
それだけたくさんのデザインを手掛けてこられた訳ですが、その中でブランドイメージを統一させる様な、何かルールがあるのですか?

山下さん

そうですね、全てのデザインの前提にはブランドアイデンティティがあります。

イノウエ

ブランドアイデンティティとは?

山下さん

わかりやすくいうとゴリラクリニックらしさを表現するためものです。
多くの企業には、ミッション・ビジョンやバリューが存在しますが、ゴリラクリニックのミッションは、“男性美容という文化を創る”です。そして、その先に“男性美容のシンボル”になることを目指しています。
ただ、「男性美容」というワードに馴染みがない人が、まだまだ多い中で、どういった印象を与えることが必要なのか?この答えを創造するブランディングの手段としてデザインを手掛けています。

※ブランドアイデンティティとは
ブランド(企業・商品・サービス)が提供している価値、実現したいビジョンなどを言葉で表現したもの。
山下憂也(やましたゆうや)
1979年、神奈川県生まれ。デザインプロダクション、求人広告代理店にて、グラフィックデザイン・アートディレクションに従事。ベンチャー系広告代理店にてクリエイティブディレクター兼 取締役に就任。クライアントの医療法人と合弁で設立したMS法人の取締役に就任し、男性専門の総合美容クリニックであるゴリラクリニックの立ち上げに参画。現在は、美容医療系コンサルティングファームにてゴリラクリニックのクリエイティブディレクターを務める。

Appleに学ぶ、ゴリラクリニックがデザインにこだわる理由

イノウエ

デザイン手法は多種多様だと思うのですが、デザインを手掛けていく中で、山下さんらしさみたいな“色“というか、こだわったポイントというのはあるのでしょうか?

山下さん

僕はアーティストではないので、自分の嗜好をデザインへ反映することは出来ません。
ただ、キャリアの3分の1以上をゴリラクリニックと関わっていますので、ゴリラクリニックのデザインを手掛けている内に、僕がゴリラクリニックにデザインされてきた部分はあるかもしれません。
また、こだわりというか、僕にしかできない役割があるとすれば、「患者さまがゴリラクリニックへ触れるあらゆる接点に、一貫性のある印象を持たせること」だと思っています。

イノウエ

一貫性のある印象を持たせる?例えばどんなイメージですか?

山下さん

そうですね、イノウエさんはiPhoneにどんなイメージを持っていますか?

イノウエ

シンプルで直感的に操作ができる、世界で一番売れている、などでしょうか?

山下さん

なるほど、なぜ世界で一番売れていると思ったのですか?

イノウエ

だって、みんな使ってますよ。

山下さん

そうですね(笑)では、なぜみんなが使う様になったのか。
Appleが生み出すものは全てがシンプル、Appleマークを見ただけでシンプルで洗練されたイメージを思い浮かべますよね。
それは、iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Apple TVなどのプロダクトやそのパッケージ、Webサイトからアップルストアに至るまで、素材や造形を活かし、シンプルなカラーで統一された一貫性のあるデザインを施しているからに他なりません。
それにApple製品は、直感的なGUI※なので、一度使うと他の製品も同様に操作できます。なので、取扱説明書が同封されていませんよね?

※GUIとは(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)
操作の対象が図柄で表現されるユーザーインターフェース。OSやアプリケーションを直感的に操作することができる。
山下さんはMac歴20年です。

イノウエ

確かに、Apple製品には取扱説明書がないですね。
初めてApple製品を使う人は、戸惑うと聞いたことがあります。

山下さん

この一貫性が、Appleらしさであり、Appleが"世界的ブランド"として確立された要因のひとつだと思っています。
では、iPhoneが世界中に普及して、多くの人に根付いたAppleのイメージって何だと思いますか?

イノウエ

僕は、“シンプルなデザイン”というイメージがあります。
あとは、“使いやすい“とか”アップルストアの対応が良い“とかですね。

山下さん

そう、「シンプルで明確で効率的」。多くの人が同じ様に答えると思います。
つまり、 Appleに対して、誰もが「共通のイメージを持っている」ということになると思いませんか?

イノウエ

たしかに、一貫性のあるデザイン・プロダクトを生み出している、その結果が“似たような共通イメージを持っている”ということに繋がっているように思います。

山下さん

なので、僕が手掛けるデザインによって「ゴリラクリニックへ触れるあらゆる接点に、一貫性のある印象を持たせる」必要があるんです。

ゴリラクリニックに通うことをステータスと感じるか

山下さん

ところでイノウエさん、そのMacBookは自分のですか?

イノウエ

え?このMacBookですか?
いえ、これは会社支給品ですけど、個人所有のPCもMacBookを使っています(笑)

山下さん

イノウエさんはどうしてそれを選んだのですか?
他の選択肢もあったと思うんですけど。

イノウエ

そんなの“かっこいい“からですよ(笑)
カフェで作業する時もMacBookの方がカッコいい、学生の頃からスターバックスでMacBookを使って作業する人に憧れていました。
今でもそのイメージは変わらず、どうしてかMacを使っている人がクールに見えてしまうんですよね。

山下さん

つまり、イノウエさんはカフェでMacBookを使うこと、その行為自体が“カッコいい”と思っていたわけですね。
それを一種の“ステータス”に感じていたという認識であっていますか?

イノウエ

ステータスですか?

山下さん

こういった取材や原稿のライティング作業は、MacBook以外のPCでもできます。
でもイノウエさんは「Macを使っている人を見て、自分も使いたい」と思った。
それが選ぶ理由であり、カフェでMacを使っている自分をイメージした時に、“カッコよく見える”という一種のステータスを手に入れる為にそのMacBookを選んだのだと思います。

イノウエ

たしかに、MacBookを“カフェで使っていること”に憧れというか、ステータスを感じていたのかもしれません。

山下さん

僕は、患者さまにゴリラクリニックに“通うことをステータス”に感じていただきたい。
その上で、デザインが重要な鍵になっていることは間違いありません。

男性美容のイメージをデザインから変えたい

イノウエ

"通うことがステータス”とはどういうことですか?

山下さん

美容医療に対する世の中のイメージは、「とてつもなく高額」だったり、男性にとっての美容クリニックは「下半身のコンプレックスを治すだけ」という偏った理解がまだまだあると感じました。
まず、その誤解を解くことができなければ、クリニックに来る患者さまの理想を追い求めるサポートができないのでは?と考えたんですね。
そこで、“通うことを誇らしく”感じていただける“純粋なカッコよさ”を演出することがまず必要だと思いました。

イノウエ

なるほど。“カッコよさ”を演出している部分というのはどういうところなんですか?

山下さん

例えば、ゴリラクリニックの診察券は、厚みのあるマットブラックのカードにゴールドの箔押しまで施しています。
これを見てください。

通ってないけど欲しいかもしれない…

イノウエ

よくあるペラペラな診察券じゃないですね。
普通、診察券ってペラペラなイメ ージですけど。ポイントカードとかではないんですか?

山下さん

いえ、ただの診察券です。

イノウエ

診察券のような小さなことからステータスに繋がっていると?

山下さん

「無駄にかっこいい」とSNSで話題にしていただくことも多いんですよ(笑)
ただ、よく考えてみてください。普通は、病院の診察券の写真をSNSへ投稿しませんよね?

イノウエ

僕はしたことないです(笑)

山下さん

僕もありません。
ただ、通っていることを誰かに伝えたい、という動機を生み出した時点で、その行為をステータスに感じていただけたのだと思います。

余談ですが、実はこのゴリラクリニックのロゴ、左右対称ではないんですよ。

気づかなかったでしょ?とちょっとドヤ顔の様子…

イノウエ

え?左右対称ではないんですか?

山下さん

診察券だと試すことができませんが、実際に真ん中で折りたたんだとしてもゴリラの顔自体が完全に一致して重なることはないんです。

イノウエ

そうなんですね、これは知らない人が多そうですね(笑)
でも、これにはどんな意味があるんでしょうか?

山下さん

人間の顔って左右対象ではないですよね?
それと同じ様に人間味のある作りにしたんです。ゴリラクリニックは、「無機的な施設」ではなく「有機的な人」であることを表現しました。
左右を非対称とすることで、その中に人間の柔らかさ・優しさを込めました。

イノウエ

ものすごく考えられているんですね…。

山下さん

僕の生み出すデザインによって、男性美容の間違ったイメージとして根付いてしまったものを払拭したいと考えています。
なので、まずはゴリラクリニックに通ってもらう“きっかけ”をデザインしていきたいですね。

まとめ

ゴリラクリニックのデザインに込められた”こだわり”を直接お伺いできた良い経験になりました。
これまでの概念から男性美容という新たな価値観を想像するために、デザインに手がける思いは普段は語られることがないのではないでしょうか?

NEW ARTICLE
新着記事

消費のカタチも価値観も目まぐるしく変わり、ダイバーシティが求められる現代。さまざまな価値観を受け入れ、新しい自分を創造するための情報を発信する。