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イケメン男優から学ぶ!新社会人が身に付けるべきは「コミュニケーション」と「マナー」

コト 2020.03.31 by G-lip E 編集部

新たな出会いが多くなる春の季節。特に新社会人は初めての就職に期待と不安に胸を膨らませているでしょう。でも仕事をするうえで、何が成功のカギになるのでしょうか?

上司・同僚・取引先など色々な立場の人と接するため、自己のスキル以前に大事なことは「いかに上手く人と付き合うか」かもしれません。

 

今回は、文字通りの「裸の付き合い」が仕事である、AV業界で活躍され、女性向けアダルト作品を中心に活躍される一徹さん、有馬芳彦さん、長瀬広臣さんの3名が仕事をする上で心掛けていることや大切にしていることなどを聞くことができました!

 

ほとんどが個人(事務所に所属していない)で仕事をしている男優業界で活躍する彼らは、どのようなコミュニケーションを意識しているのか。人付き合いを大切にしたいビジネスパーソンには学びが多くありました。

 

 

<インタビュアー/イノウエ、わたやみき>

初めて仕事をする相手との距離感

イノウエ

今日は、プロとしての心構えや仕事をする上で大切にしていることについてお伺いできればと思いまして、3名の男優さんをお呼びいたしました。よろしくお願いいたします。

一徹さん

ねー、聞いた時はびっくりしましたよ(笑)。
本当に僕たちで大丈夫なのって。

名前:一徹(いってつ) SODの女性向けAVレーベル「SILK LABO」の作品で女性向けAV男優(エロメン)として人気を博し、現在はレーベル「RINGTREE 」の代表を務める。2019年に女性向けAVの経験をもとに男女が互いに楽しめるセックスについて語った『セックスのほんとう』(ハフポストブックス)を出版。

イノウエ

いえいえ、みなさんの職業こそ普段は知ることができないですから。
早速ですが、仕事に対する気遣いや姿勢についてそれぞれお聞きしたいと思います。

初めて仕事をする女優さんの場合も多いと思うんですが、良い作品作りのために気を遣っていることはありますか?

長瀬さん

一般の人は知らないことだと思いますが、本当は女優さんとあまり喋っちゃいけないんです。でも女性向け作品は恋愛物が多いので、ある程度相手のことを知っておかないと上手くできない。だから僕は結構話しかけるようにしてますね。

有馬さん

僕は最低限ですね。好きなプレイの質問とかはしますけど、好きな食べ物は聞かないです(笑)。

過去に男優さんと女優さんが仲良くなりすぎて、勘違いが起こったりしたこともあって。なので僕は最低限だけお話だけするようにしてて、プロとして現場に立つようにしてますね。

名前:有馬芳彦(ありま よしひこ)1985年7月21日生まれ。身長174cm 料理を特技とし、オンラインサロンにて多数の料理写真を投稿する。2019年に女性向けAV男優(エロメン)を卒業し、現在は舞台やイベントを中心に活躍中。

一徹さん

「いかに好かれるか」よりも、「いかに嫌われないか」を大切にしてる人が多いと思います。

それに年齢とかパーソナルなことは、それなりに信頼関係を積み重ねないと聞けない内容でもありますよね。

イノウエ

なるほど、ラポールともいいますよね。相手との距離感を上手く縮めることは大切ですね。

女優さんだけではなく、制作スタッフさんともお仕事をされてると思います。

制作スタッフさんに対してもそれは同じ?

有馬さん

僕は現場で、スタッフさんと結構仲良く話してたことがあって。話しやすい現場を作ろうと思ってたんですけど、役者の現場で監督に嫌われてしまったことがあるんです。
「喋ってないで自分の仕事しろよ」と…それからは男優の現場も役者の現場も、プロとして現場に立つように心構えを変えましたね。余計なことをいわずに自分の仕事をまっとうしようと。

イノウエ

仕事相手と仲が良くなりすぎちゃうと、かえって指摘しにくいと感じる人もいるかもしれませんね。

一徹さん

ケースバイケースじゃないかな。僕はどっちかっていうと仲良くなって意見をいえる関係が良いってタイプです。いじるとかも、ある程度仲良くならないと、ただのイジメみたいになっちゃうから。

長瀬さん

僕はおしゃべりなんで現場でも常に喋ってますね(笑)。

時間が押したり、何かの理由でADの子たちが怒られてたり、空気が重くなる時とかあるじゃないですか。そういうのが苦手なんです。1つの作品作りなので、雰囲気よく仕事が出来るように心掛けてます。

名前:長瀬広臣(ながせ ひろおみ)1988年2月1日生まれ。178㎝・体重59㎏ 女性向けAV男優として活躍するかたわら舞台にも積極的に出演し、幅広い年代から支持を集める。中国語は通訳レベルであり、趣味としてテコンドーや殺陣にも取り組む。リングスエンターテインメントに所属する。

一徹流「苦手な相手との仕事術」

イノウエ

では自分が苦手な相手に対してはどうでしょう。

AVでは男優さん側から相手を選べないと思うんです。その中でも、人間の好き嫌いも必ずあると思うんですが…

有馬さん

僕はプロとして、役者として現場にいます。どんな方が相手でも。

一徹さん

すごいね(笑)。

有馬さん

「これはこれ」っていう感じで現場にいないと、すぐ心がぽきっと折れてしまうんで(笑)。

イノウエ

仕事での自分の弱みをきちっと理解してるんですね!

一徹さん

その点、僕はストーリーを作ります。

イノウエ

ストーリー?

1日のストーリーってことですか?

一徹さん

いや、その女優さんと僕が絡む必然性というところで。相手が嫌そうな顔しているときとか、「本当は好きなんだけど、素直に表現できないんだな」って考えて絡むと…興奮してくるんですよね。

「素直じゃないんだから」って(笑)。プライベートでやったら犯罪ですよ!でもお仕事ですから、みんなが幸せになるために編み出した苦肉の策ですね。

イノウエ

すごい…

でも、そうなるまでは色々試してきたんですか?

一徹さん

基本的に、みんな徐々にハードルを下げて行っていると思います。僕も最初は「お母さんよりも年上の年齢の女性はちょっと厳しい」って思ってたんです。

でもそのうち「お母さんより年上だから無理?失礼じゃないか!」となってきて。だんだん愛おしく思えてくるんですよ(笑)。

仕事で失敗したとき・嫌われたとき

イノウエ

みなさんは物腰も柔らかいですし、コミュニケーションにもすごく気を使ってると思うんですが。

それでも、対人関係で誰かに嫌われてしまったり、失敗した経験はありますか?

有馬さん

僕はある時、すれ違いざまに「おはようございます」って挨拶したら、「立ち止ってあいさつしろ!」と叩かれたことがあります。

一徹さん

へー!厳しいねぇ。

有馬さん

そこからは急いでいる時を除いて、ちゃんと立ち止まって挨拶をするようになりました。

イノウエ

会社内とかで、すれ違いざまに「お疲れ様です」みたいな挨拶しちゃいますよね…。

有馬さん

あと19歳くらいの時、打ち上げでタクシーに乗った上司をお見送りして、タクシーが出たらすぐその場から離れちゃったんです。そしたらタクシーがUターンして戻ってきたんですよ。

「忘れ物かな?」と思っていたら、上司から「見えなくなるまで待てや」と怒られたことがありました。今になってはそこでも礼儀を学びましたね。

イノウエ

有馬さんを取り巻く環境が厳しい気が…。
一徹さんはどうでしょう?

一徹さん

僕の場合はお仕事でダブルブッキングしちゃった時とか…。
もう身が縮む…どうやったら直していけるのか教えてもらいたいです(笑)。

長瀬さん

いや、兄さん(一徹)スケジュール帳見たらいいんですよ(笑)。

真顔で聞く兄さん(一徹)…。

一徹さん

いやいや見てるんだけどさ…ないですか?そういうこと。

イノウエ

うーん、僕は予定が入ったときになんとなく覚えちゃいます。
もし、ダブルブッキングしそうになったら曖昧な返答はしない様にするとかですね。

一徹さん

でもやっぱり、ダブルブッキングした時は、その後のフォローが大事ですよね。

この後無給で働きますから埋め合わせさせてください!」とか。

イノウエ

たしかにやっちゃった後のフォローで、その後の印象はかなり変わりますね。
それに、みなさん本当に素直ですよね。指摘されたことに対してすぐ受け入れるというか。

長瀬さん

そうでもないですよ。嫌なことは嫌っていいますね。

一徹さん

みんな、嫌なところを自分の中で明確にしたうえで、譲れないところは伝え方を変えたりするんだと思います。譲れないところはちゃんといった方が、お互いに幸せになりますから。

ビジネスシーンでも気を遣いたいスメルケア

イノウエ

男優という仕事をするうえであっても、ビジネスシーン同様相手を選べない状況の中で、少しでも相手に不快な気持ちを与えないために、第一印象とか身だしなみに気を遣っていることはありますか?

一徹さん

気を使おうとは思ってますよ(笑)。

でも、僕は洋服や自分の容姿にあまり興味がなくて。

有馬さん

兄さん(一徹)は結構寝グセ付いてることありますよね(笑)。

ダメな一面も…!

一徹さん

あとは身だしなみだったらもう「安全」ってことじゃないですかね。「病気持ってない」、「臭くない」。

良い匂いにも好みがあるので、僕らの仕事では無臭が1番っていわれてますからね。僕はそうもいってられない年齢にもなってきてるけど(笑)。

イノウエ

最近では「咳エチケット」もマナーの一つになってますから、「病気ではない」も一般に求められてますよね。

女性って大体良い匂いするじゃないですか(笑)。
自分も負けないように…とはならないですか?

一徹さん

男優さんでも香水とかを付ける人はいます。僕も始めた頃、憧れてた男優さんがシャネルのボディーローションを付けてて「かっこいい」と思って付けてたんですけど。「ちょっと胸焼けする匂い」っていわれたのですぐやめました。

イノウエ

スメルハラスメントですね(笑)。

やっぱりそこは相手というか、女優さんファーストなんですね。

長瀬さん

僕はスタッフさんにニオイチェックもしてもらいます。

「ちょっと嗅いでもらっていいですか?」って。「マジで正直にいってくださいね」って。

一徹さん

嗅がされた方はたまんないよね(笑)。

長瀬さん

いやいってくれるんですよ。ADさんとかスタッフさんが「長瀬くん、嗅ごうか?」って(笑)。

イノウエ

それは、業界の制度として匂いチェックがあるんですか?

一徹さん

性病検査は制度としているんですけど、以前は監督が撮影前に目視したり匂い嗅いだりしてチェックしてたんですよ。

でも監督は病気を診るプロじゃないから、今はクリニックへ行ってやってもらうようになってます。

イノウエ

一般的なビジネスパーソンでも匂いを気にされる方が多いと思うんですが、匂いケアでは何を使ってますか?

有馬さん

僕はいつもマウスウォッシュとミンティアを持ち歩いてますね。

一徹さん

男優はミンティアが結構多いかもしれないです。紺のやつと黒いの。

長瀬さん

撮影のときくらいですけど、僕はミンティア食べてオーラ2のスプレーします。

有馬さん

いやいつもやってるよ。歯ブラシとオーラ2は絶対入ってる(笑)。

兄弟のように仲が良い3名でした

仕事で成果を上げる近道は先輩を参考に

イノウエ

みなさん個性あふれる対談で非常に面白いのですが、業界へ足を踏み入れた当初と今を比べ、業界での自分の立ち位置や、自分のやり方などが明確になってきたと思うんです。

それまではどの様にステップアップされてきましたか?

一徹さん

そうですね。始めは本当に下心で、「女の子とエッチができてお金がもらえるって、なんて素晴らしい職業だろう」と、この業界に入ったんです。

でも実際に制作現場を見ると、真剣にモノづくりしてる人達がいて、自分もその中のパーツとして組み込まれているのが分かりました。頑張った後に「良かったよ」っていわれるのが何よりも嬉しく感じるようになりましたね。

イノウエ

実際に携わる人たちを目の当たりにしたときに、努力をされたんですね。

一徹さん

正直、運ゲーなところもありますよね。自分が何もしてないわけではないと思うんですけど、「あの時のAV業界に入ってこれたから良かったな」というのがあります。

イノウエ

どういうことでしょうか?

一徹さん

当時は、しみけんさんとたまたま現場で一緒になって「この人すごいな」と思って。スタイルをパクせて貰ったんです。

ライフスタイルも真似て、しみけんさんが住んでた中野に引っ越して、「すごいな」と思ったところはできるだけ完璧にパクらせていただきました。

男優のお手本が、しみけんさんだったみたいたいです。

一徹さん

それで、やってみたんだけどパクれないところとか、「ちょっと違うな」ってところは、自らのオリジナリティーを出していくっていう感じだったんですよ。

長瀬さん

でも、僕はやっぱり女性向けのジャンルを広めた兄さん(一徹)が憧れですね。
イベントの規模やファン対応もすごいし、仕草1つにしても「すごい」って思うんですよ。だけどその反面「僕は同じ道は行きたくないな」って思ってる部分もあって。

イノウエ

尊敬はあるけど、真似したくないという感じでしょうか。

長瀬さん

先輩たちが今まで作ってくれたレールの上に僕が乗ってるだけ、真似してるだけじゃいつまでも越えられないと思うんです。

追いつけ追い抜けっていう世界なので。ステップアップについては、本当に小さなことの積み重ねだと思います。1つずつ改善していって、最終的には「あっもう任せても大丈夫かな」って思われるようになりたいなって。

イノウエ

なるほど。一徹さんとは少し違うところを目指しているんですね!

長瀬さん

僕は真似をしたくないっていうか。真似て得する部分もあると思うんですけど、やっぱり自分色を出していきたい。わがままなんです。

よく「先輩の映像を見なさい」っていわれて、本当は勉強として見なきゃいけないと思うんですけど、性格上「見たら絶対真似しちゃうだろうな」と思って。題材として貰った作品は見ますけど、それ以外は見ないようにしてます。

イノウエ

たしかに、仕事の中でも電話対応とか、何気ないことなのに真似しようと思っていなくても、影響は受けてしまいますもんね。

長瀬さん

やっぱり「それって兄さんたちがこないだ作品でやったよね」とかいわれちゃうんですよ。

憧れてる人「っぽい」っていわれるのは嬉しいんですけど、自分は自分でありたいっていうのは強いですね。

有馬さん

僕は、誰かの(作品を)見て損なことはないんじゃないかなと思いますけど。

それでも、「真似しちゃう」って思うんだったらそれをつき通すのも良いと思うし、長瀬くんを見届けたい僕もいますね(笑)。

僕は一徹さんたちをずっと真似てきたので、別の道を歩むとしたら「どういう人ができるんだろう?」ってすごく興味があります。

長瀬さん

あ、でも見ないようにしてるのは作品だけで、イベントでの内容はすごい取り入れてますよ。

兄さんたちのやり方とか、「こういうのいいな」って取り入れることも多くて。作品はいろんな人が見るので…すいません、わがままですね。

一徹さん

もう1つ、大事なこと。助監督さんは絶対に大事にしたほうが良いと思ってます。僕たちが若い頃に助監督だった方が、今の現場でディレクターとかやってるんですよ。

そのときウマが合わないからってぞんざいに扱っていると、絶対仕事で自分に返ってくると思うし。

有馬さん

みんな覚えてますもんね。

イノウエ

どんな過程においても、いつどこで一緒に仕事をするかわからないですからね。個性を大事にしながらも周りの環境を大切にしなければならないんですね。

まとめ

デリケートな人間関係や雰囲気の中でお仕事をされることも多いAV男優さん。

インタビューから伝わってきたのは、一徹さん、有馬さん、長瀬さんがどんな状況でもプロ意識を支えにすること、相手ファーストな接し方を心がけているということです。

 

振る舞いや言葉といった表面的なものだけを気にしすぎず、「自分がどうなりたいのか」、「相手とより良い関係を築いていくためにはどうしたら良いか」といった思考をもつことが大切なのかもしれません。

新しい環境や新しい人と出会う機会では、そんなコミュニケーションの基本となる気持ちを再確認し、良い関係を作り出していきましょう。

 

<ライティング/わたやみき>
<編集/イノウエ>
<撮影/九鬼槙範>

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