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【インフルエンザ】予防ワクチンはなぜ毎年接種しなければならないの? インフルエンザに関するあれこれをドクターに直撃!

私たち 2020.01.24 by G-lip E 編集部

空気が乾燥しはじめる冬季に流行がはじまるインフルエンザは、一度感染してしまうと、40度以上の高熱を発症したり、激しい頭痛、倦怠感を感じる症状が数日続続くため、会社へ出勤することや、生活することが困難になってしまうウイルス性感染症です。
そのため日本では、インフルエンザワクチンの予防接種が毎年行われており、予防策としても、マスクや手洗いうがいといった、意識をすることで感染を未然に防ぐことが推進されています。
しかし、「ワクチンの予防接種をしてもインフルエンザに感染した」という話を聞くこともあり、その実態はどうなのか?予防接種は毎年受ける必要があるのかなど。
医師の観点からインフルエンザに関する疑問を、ゴリラクリニック渋谷院院長を務める斉藤ドクターに直撃し、インフルエンザに対する理解を深めてきました!

インフルエンザに関する基礎知識

イノウエ

先生、今日は冬の時期に大流行するインフルエンザに関するアレコレ、疑問を解決してもらいたくて…

斉藤ドクター

以前は内科にいましたから、なんでもお答えできると思いますよ。

イノウエ

ありがとうございます!早速ですが、毎年インフルエンザが流行してますが、そもそもインフルエンザはどのように感染していくのですか?

斉藤ドクター

インフルエンザには、A型、B型、C型の3つの形態があり。大人に感染して発症するのはA型とB型の2種類とされています。C型については、大人へ感染(感染の多くは幼児)することはほぼありません。そのうちのA型のインフルエンザに感染することが多く、インフルエンザに感染する経路は、飛沫感染、接触感染があります。

富山県出身。北里大学医学部卒、北里大学病院、国際医療福祉大学熱海病院を経てゴリラクリニックの渋谷院院長を務める。休日も外来・往診など幅広く医療を行う。投資や資産運用が好き。ワインが大好き。

イノウエ

飛沫感染と、接触感染は聞いたことありますが、実際どのように感染していくのでしょうか。

斉藤ドクター

多くのウイルス感染は、喉や鼻、目の粘膜から体内に進入します。ただし、インフルエンザウイルスの場合、自らの手で体内へ進入させてしまう接触感染については、手洗いや、アルコール消毒で予防することができます。

イノウエ

飛沫感染については、防ぐことはできないんですか?

斉藤ドクター

マスクをしたり、外出を避けることで感染者との接触が少なければ感染する可能性は低くなりますが、完全に防ぐということは医学の観点からみても難しいですね。

イノウエ

なるほど…。そうなると、インフルエンザウイルスが冬に流行するというのは空気が乾燥しているからと聞きますが、その他に原因というのは何がありますか?

斉藤ドクター

インフルエンザウイルスは、本来カモ由来のウイルスで、カモ等の水鳥が海外から南下するしてくる冬に、渡り鳥等が落とす糞によって、地上の家禽から人へ感染が広がっていくんですよ。

イノウエ

渡り鳥がインフルエンザを…。

斉藤ドクター

カモ等の水鳥から人へ直接感染することはないので大丈夫です。ただしウイルスはカモから家禽(多くはブタ)を通じ、人へ感染していきます。この時、渡り鳥が落とした糞によって感染した家禽の体内で、ウイルスが形態を変え、人へ感染するウイルスへと変異していきます。

イノウエ

いくつかの動物を経てウイルスが変異し、感染していくということですか。

でも、なぜインフルエンザウイルスは変異するんですか?

斉藤ドクター

そもそもウイルスというのは、遺伝情報が詰まった核酸(DNAまたはRNA)をタンパク質や脂質が取り囲んでいる粒子で、インフルエンザウイルスの表面にはスパイクタンパクという糖タンパクが突き出ています。HA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)という2種類のタンパクなのですが、これらは常に、わずかに変化しています。そして人に感染した際にも変化し続けます。

イノウエ

つまり、毎年流行するのは、毎回違う形態のインフルエンザウイルスになっているからということでしょうか?

斉藤ドクター

その通りですね。逆に夏は湿度が高く、湿気とともに地面に落ちてしまうんですが、冬になると空気が乾燥し、ウイルスの活動がしやすい環境になり、蔓延しやすく、強い感染力となって流行してしまうんですよね。

イノウエ

だから日本では空気が乾燥する、冬だけ流行するんですね。

インフルエンザに関する疑問のアレコレ

イノウエ

先ほど、ウイルスは細胞の中でしか生きることができないとのことでしたが、そのような性質を持ったウイルスでありながら、接触感染によって、人から人へ伝播してしまうものなんですか?

斉藤ドクター

オフィスのドアや、エレベータのボタン、紙幣などが接触感染の感染経路としては考えられます。また、インフルエンザウイルスがどのくらいの時間生存し、感染源となってしまうか、ウイルスの生存環境や気候(温度、湿度)など、ウイルスの状態と量によっても異なりますが、およそ2〜8時間程度と考えられているので、可能性としては十分高いと思いますよ。

ウイルスの接触感染をあまり信じていませんでした…

イノウエ

目に見えないウイルスを避けるということは不可能ですね(笑)。

斉藤ドクター

そういう意味では一般的に風邪と表現される、ウイルス性の咽頭炎、上気道炎なども同じと言えます。極端に言ってしまうと、インフルエンザも症状の強い風邪の一部と言えるかもしれません。

イノウエ

1日や2日で治ってしまう風邪の症状が、重症化したものがインフルエンザだと?

斉藤ドクター

そうですね。あとはよく言われるのが「医者に診てもらって、薬を処方してもらったら早く治る」ということですが、実際のところ、薬は症状を緩和させる効果しかなく、人の治癒力によって体が回復(治癒)していくんですよ。

イノウエ

でも、「診察してもらった」「何もなくて良かった」という安心感だけは、診察を受けることでしか得ることができないと思うんですよね。

斉藤ドクター

確かに、医師の診察を受けることで安心感に繋がるというメリットはあります。ただそれ以上に、風邪だと思っている症状でも実は裏に大きな病気が隠れていたという可能性もあるので、医師の診察を受けることは大事だったりするんですよ。

イノウエ

でも、先生、インフルエンザだと思われる症状になって、診察を受けにいくと、鼻に長い綿棒のようなものをグッと入れて検査すると思うんですが、あれが痛いし、本当に苦手なんですよ…。

斉藤ドクター

ああ(笑)。あれ痛いですよね。でも鼻の奥側でないと、ウイルスが付着しなかったり、口内だと検出されないこともあるので、あの方法が採用されているんです。

小さい子供も同じ検査してますので、頑張ります…

イノウエ

そもそもウイルスの検査を受けに行くまでに、早すぎると陰性反応が出てしまうこともあるんですか?

斉藤ドクター

それはもちろんあって、迅速診断キットによる検査は、発症後12時間から48時間前後が最適と考えられています。ただし迅速診断キットの結果が全てではなく、症状の経過や所見などからインフルエンザと診断されることもありますから、まずは「おかしいな」と感じた際は日中の受診をおすすめします。

イノウエ

すぐに検査することができても、ウイルスが検出されなければ、嬉しい反面、悔しい気持ちにもなりますけどね(笑)。

斉藤ドクター

ただ、症状とウイルスの量は比例するというデータもあるので、一概には言えませんが、症状が重い場合は、比較的早く陽性反応がでることもありますよ。

イノウエ

なるほど!焦ってすぐに検査へ行く必要もないということですね。

では、インフルエンザらしき高熱がでてから、診察に行くまでの時間の中で市販薬(解熱剤)を飲むことがある場合、効果的な薬はありますか?

斉藤ドクター

アセトアミノフェン、であれば特に問題はありませんが、ロキソニンやイブプロフェンは特に小児では脳症の発症が高まる危険性もあるので、使用不可とされていますね。

イノウエ

急激に高熱になり、インフルエンザらしき症状がでた場合には、ロキソニンを飲んでは危険と。その他、飲まない方が良い薬はありますか?

斉藤ドクター

抗生物質はウイルスに対しては無効であるばかりか、副作用も懸念されるので使用は控えることをおすすめします。また胃腸炎のような症状で下痢が続く場合でも、下痢止めは通常は処方されることはありません。体の防衛反応で体からウイルスを排出しているので、それを薬で止めてしまうということは、あまり良くないことなんです。

インフルエンザに関わらず、薬の服用は慎重に!

イノウエ

なるほど。通常では下痢を止めようと下痢止めを飲みますが、それも良くないと。

ところで病院で処方される薬と、市販薬で大きな違いはあるんですか?

斉藤ドクター

病院で処方される薬は医療用医薬品。薬局・薬店で市販されている薬は一般用医薬品と呼び、医療用医薬品の方が有効成分も多く、効き目が強いですが副作用も考えなければいけません。一方で、一般医薬品は安全性が重視されており、安心して使用できますが、医療用医薬品よりも有効成分が少なく調整されているものが多いです。

イノウエ

そうなると特別、診察を受けなくとも、市販薬でどうにかなってしまうこともありそうですね。

斉藤ドクター

忙しいビジネスマンの方や、診察を受けれる時間に仕事をしているという方は、無理にとは言えませんが、診察を受けることによって、風邪と良く似た症状の病気を見つけることができるので、なるべく診察を受けてもらいたいですね。

ワクチン接種では予防ができず、自然治癒でしか治らないインフルエンザ

イノウエ

インフルエンザと診断されても、具体的な治療法がないのであれば、診察を受けるというより、インフルエンザと確定診断をしてもらい、症状を和らげる薬を処方してもらうというイメージをした方が正しいんでしょうか。

斉藤ドクター

そうですね。インフルエンザの治療薬として、1日2回の服用で5日間継続するオセルタミビル(タミフル)、1日8回吸入するだけのラニナミビル(イナビル)、1日2回の吸入を5日間継続するザナミビル(リレンザ)、一度の点滴で済むペラミビル(ラピアクタ)、近年開発された、一度の服用で済むゾフルーザを処方してもらうことができ、症状を和らげることができます。

イノウエ

でも、処方された薬はあくまで、症状を和らげる役目であって、症状を回復させるには、免疫力を高め、自然治癒するしかないんですよね?

斉藤ドクター

インフルエンザの特効薬で症状が比較的早く緩和していきますが、やはりベースの免疫が低い小児や高齢者は重症化の恐れもありますね。

免疫が本当に重要なんです。

イノウエ

ということは免疫力が元々低い、子供や高齢者の方はインフルエンザにもかかりやすいということですか?

斉藤ドクター

そうですね。例えば高齢になると免疫も低下してしまうので、感染してから回復するまでに時間がかかってしまいます。もともと風邪にかかりやすい方や仕事で疲れている方、また休日前に緊張が解けた時などは自律神経のバランスも崩れやすいので要注意です。

イノウエ

そうなると、ワクチン接種は予防接種と言いますが、免疫力が低い状態であれば感染してしまうんじゃないですか。

斉藤ドクター

ワクチン接種をしても、ウイルスは常に変化を繰り返しているので、感染を完全に防ぐことは難しいです。重要なのは、インフルエンザの予防接種の目的が、感染を防ぐことではなく、重症化を防ぐことにあるということです。

イノウエ

つまり、他のワクチン接種とは違い、ウイルスが常に変異しているインフルエンザは、ワクチン接種をしても感染する可能性が高いということですね。

斉藤ドクター

そうなんです。だから気がついた時に手を洗ったり、アルコール消毒を行うなど、予防はすべきなんです。

インフルエンザの予防策と、感染してから完治するまでの目安

イノウエ

ここまで色々お話いただきましたが、そうなるとインフルエンザが治ったという明確な基準というのはあるんですか?

斉藤ドクター

熱が下がり症状が治ればとしか言えませんが、基本的には最低でも5日間は会社に出社できませんし、自分が感染源にならないためにも、外出は控えた方が良いと思います。

イノウエ

そもそも、インフルエンザのワクチン接種を受けても、感染してしまう可能性があるということは、防ぐことができないということですか?

斉藤ドクター

これはもう、手洗い、マスクをして予防するしかないですね。うがいというのもありますが、うがいができない環境であれば、こまめに水分補給して、のどに付着したウイルスを胃に流してしまう方が効果的です。

イノウエ

うがいではなく、水分を取るだけであれば比較的簡単に予防することができそうですね。

インフルエンザに感染した後、熱が下がり、咳や、鼻水といった、風邪の症状が残る原因というのもあるんですか?

斉藤ドクター

インフルエンザは極端に言ってしまうと風邪の症状が重症化したものとも考えられるので、解熱してからの経過日数と、処方された薬を服用して合併症の予防を行っていれば問題ないと考えて大丈夫です。

イノウエ

確か、インフルエンザが治癒したかどうかわかる検査はなく、厚労省・文科省のHPでも、「治癒証明書を取得させる意義はない」とされていますよね。

斉藤ドクター

そうですね。まあ僕も今年、ワクチン接種しましたけど、すでにインフルエンザになってますからね(笑)。休日前なんかに緊張が解けると感染してしまうんですよ。

まとめ

インフルエンザウイルスは常に増殖や変異を繰り返すため、非常に感染力が強いウイルスです。ワクチン接種をしても予防することはできず、感染した際に症状を緩和する効果しかありません。
感染してから完治するのも人の自然治癒力によるものとすれば、普段の手洗いや、マスク、アルコールティッシュ等での予防策が非常に有効となるのではないでしょうか。また、免疫力が高まる食生活や、睡眠時間の確保により疲労蓄積を防ぐことで、感染しにくい体へとなることができるかもしれません。

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