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【サーファー 大橋海人】仲間とサーフィンを楽しむことを、この先もずっと続けていきたい

ヒト 2019.10.28 by G-lip E 編集部

2020年に開かれる東京オリンピックの正式種目として、はじめてサーフィンが選ばれ、注目を浴びたのは記憶にも新しい。自然と調和し自分を演出しなければならないサーフィンは、毎朝の波チェックからはじまるそうだ。

まだ記憶にもない3歳のころから、自然の大切さや人間力を教えてくれたサーフィンが、いつしか生活の中心になったと語るのは、プロサーファーの大橋海人さん。

今回、サーフィンに対するこだわりについて伺いながらみえてきたのは、なにかを心から「楽しむ」という子供の頃からずっと変わらない気持ちでした。

〈インタビュアー:イノウエ〉

スマホ1つで充分な波の予測ができるように

イノウエ

今日は大橋さんの、サーフィンに対するこだわりについてお伺いしたいと思いまして。

大橋さん

はい、なんでも!よろしくお願いします!

イノウエ

幼い頃から、今も変わらず茅ヶ崎に住まわれているそうですが、1日の始まりは、波チェックから始まるんでしょうか。

大橋さん

そうですね。基本的に朝は波チェックから入るんですけど、だいたい3日前の夜に、天気図で波情報を見ながら「このぐらいの波がきそう」というのを確認して、潮の満ち引きや海の地形を考えて、あとは何時に起きるっていうのを決めるようにしてますね。

波がないっていう予報だったら、朝はゆっくり寝てるそうです(笑)

イノウエ

そんな予測ができるんですね!今はスマホもあって、昔と比べても正確な波を予想しやすいんですか?

大橋さん

今はもうスマホひとつあればなんでも見れちゃうんで、めちゃくちゃ便利ですよね。

イノウエ

そうですよね。普段利用している天気アプリは、特別なアプリなんですか?

大橋さん

無料の天気図を見るだけのアプリですよ(笑)。

イノウエ

そんな、無料の天気アプリで波の予測ができるんですか?!

大橋さん

一般のサーファーの人たちは、「明日は胸ぐらいの波でしょうとか、肩ぐらいでしょうとか、午後にかけて風が吹くでしょう」みたいな。細かい波情報を教えてくれる有料のアプリを使っていると思うんですけど。

本名・大橋海人(おおはし かいと) 1992年茅ヶ崎生まれ、地元湘南・茅ヶ崎を拠点とし、アマチュア時代から数々のコンテストで優勝。JPSA(日本プロサーフィン連盟)プロ昇格と共に『ルーキーオブサイヤー』獲得、24年ぶりに開催した伝説のビックウェーブコンテスト『稲村クラシック』でも優勝など数々の国内外コンテストでリザルトを残した。2015年は WSL日本チャンピオンに輝き、2016年のWSL QS10,000という世界最高峰のコンテストのワイルドカードを獲得世界に近いライダーの1人として、オリンピック強化指定選手に選ばれる。

大橋さん

僕たちは普通の天気図のアプリで十分で、たとえば西から風が入ってくるのがわかれば、「じゃあここだね」と、一度ランディングしたことのある場所なら大体わかるんですよ。

イノウエ

それは過去の経験だったり、データの蓄積などがあるからできることですか?

大橋さん

やっぱり、海の地形とかも把握してないと、難しいと思いますね。

イノウエ

逆に、ランディングしたことがない海で、例えば九十九里浜だと、わからない場合もあるということですか?

大橋さん

そうですね、他のポイント行くと、今の地形の感じとか砂が付いているとか、海によって全然違うんですけど、それでも一度ランディングするとわかるようになります。

イノウエ

自然のことで、波を予想するのが難しいと思うんですが、天気や波の状態が気になり始め、波の良い、悪いが掴めてきたのは最近のことなんですか?

大橋さん

まあ、昔はバカだったんで。高校生のときも「なんか今日は波があるニオイがする」っていいながら、海に行ってみたら外しちゃうなんてこともよくあったんですよ(笑)。
そうしていると、いい波の時にランディングできないのが悔しくて、スマホもあったのでそこから調べるようになりました。

サーフィンが生活一部に、新たなランディングポイントを見つける醍醐味

イノウエ

今は過去の経験と、スマホなどのテクノロジーの進化もあって、より正確に波を把握できるようになったんですね。

大橋さん

もう完全にそうですね。あとは最近、Google Earthとかで、いろんな場所を見て、新たに乗れそうなポイントを探ったりしてて、去年も友達が新しいポイント見つけたり、そういうのがサーフィンを楽しむための1つになって。
そういうことを含めて、自分にとってのサーフィンは、もう生活の一部です。

Google Earthとは、インターネットを前提として開発したバーチャル地球儀システムで、世界中の衛星写真を、まるで地球儀を回しているかのように閲覧することができるGoogleが提供する無料サービス。

イノウエ

新しいポイントの見つけるのに、Google Earthを利用するなんて驚きです(笑)。
サーフィンが大橋さんの生活の一部になったのは、いつ頃からですか?

大橋さん

自分の場合は3歳という、本当に記憶がないときからサーフィンやってました。父も母もサーフィンをやる家庭に育って、休みの日になるとお弁当持って海に行って、パラソル立ててみたいな(笑)。
だから普通の子どもが歩くのを覚えるのと同じくらい、海にいるのが当たり前だったんですけど、小学生になると、ふと「なんでオレ、海にいるんだろうな」と。
ようやく、うちは特別なんだと感じてきて。

イノウエ

小さい頃は親の影響を受けやすいと聞きますよね。

大橋さん

僕の場合は、親から受けた影響がサーフィンだったということです。

波によって変える、1mm単位でこだわるサーフボード

イノウエ

サーフィンを初めて、物心がついた頃といまを比べ、感情や使っているモノだったり、変化したこともありますか?

大橋さん

感情はあまり変わっていないと思うんですけど、モノについてはもう全て変わっていて、サーフボードとかもどんどんハイテクになって、例えばボードの舵を取る部分のピンもどんどん開発されているので、今はどんな波でも楽しめるようなオプションがたくさん生まれていると思います。

イノウエ

つまり、波によってボードの性能も変わるということですか?!

大橋さん

全然違いますよ(笑)。
潮の加減で浮いたり沈んだり、板の分厚さもいろいろな種類があるし。こういう波には、「あの素材のボードが良かったな」と感じたり。あとは、 1mm違うだけでも性能が全然変わったりするんです。

イノウエ

シビアな世界ですね…

大橋さん

だから 海外の大会は、多いときに8本のボードを持って行くんですけど。それでも、別のボードのほうが良かったんじゃないかと思うときもあるんです。

イノウエ

8本もですか?!8本のボードは全て同じ人が作っているんですか?

大橋さん

そうですね。いまから6〜7年ぐらい前に、僕がサーフボードとの相性で悩んでる時があって、その時にアメリカに住んでいる友達から「海人に合いそうなシェーパーがいるから、試してみなよ」って紹介してもらったアメリカに住んでる方なんですけど。

大橋さん

はじめは合わないこともたくさんあって、でも3年くらいやり取りしていくうちに、今では自分のクセとか好みをよくわかってくれているので、どんどんいいボードを作ってくれます。

イノウエ

信頼関係や、長年の付き合いのなかで、いいボードが生まれるんですね。シェーパーさんは大橋さんのランディングを見て分析したりするんですか?

大橋さん

僕から動画を送って見てもらったり。「カービングでココが引っかかるから」って伝え、「自分はこうしたいから、もうちょっとここをこうしてくれ」って、ボードをどんどん作り変えてもらうようにしています。

イノウエ

それがボードに対するこだわりですね!

大橋さん

でも、やっぱりそのボードの調子がすごい良かったから「同じものをもう1つ作って」といっても、手作業なので、まったく同じものはできないんですよね。
ただ、その違うボードが、別の海には合ったり。 決まりごとがないのがサーフィンの世界なので、難しいし、奥が深いですよ。

イノウエ

ボードはサーフィンをやる上ではもっとも大事にされているんですね。

大橋さん

そうですね。F1でいったら車で、ボードがないとサーフィンもできない。
それに自分の体調が悪くても、ボードが調子良ければ、勝手にサーフィンが調子良くなることもあって。逆に体調が良くても、ボードがダメだったら乗れないこともあるくらいなんです。

イノウエ

風邪を引いていても海に行くんですね(笑)。

大橋さん

インフルエンザになった時も、父親に「海に行ってこい」っていわれて、学校を休んで、でも病院は行かずに海行って、それで治ったりしてましたね(笑)。

勝ち負けより、仲間とサーフィンを楽しむことが幸せ

イノウエ

プロサーファーとして活動しはじめてからも、ボードや海への思いというのは昔から変わらないんですね。

大橋さん

変わらないですね。今はスポンサーさんからも新しい板をもらったりもするんですけど、新しい板が届くときの気持ちも変わらず、ワクワクしますからね(笑)。

イノウエ

小さいころ「なにか買ってもらった時」の気持ちは、大人になっても変わらないということですね。
サーフィンを初めてからの「気付き」はありますか?

大橋さん

言葉にはしづらいことですけど、たとえば自然に近いところにいるので、自然の大切さだったり。ゴミが増えている現実をより身近で感じるようになりました。

イノウエ

ゴミ問題は大きな課題と聞きますね…

大橋さん

あとは、サーフィンが「死」とも隣り合わせのスポーツで、仲間が海で亡くなったこともあって、自分の命はもちろん、家族や友達をとても大切に感じるようになりましたね。

イノウエ

明日のことを常に考えたり、後悔しないような生活を心がけるようになったんですね。

大橋さん

後悔しないようにって、考えてはいるんですけど、僕はサーフィンも、他のこともひっくるめて、心から「楽しむ」ことをなにより大事にしてるんです。

イノウエ

忙しさのあまり、僕たちも心から「楽しむ」ことを忘れてしまうことがあります。

大橋さん

僕は試合のときも、ずっと集中しているというより、音楽を聴きながらリラックスしたり、何かハプニングが起きても、それもひっくるめて楽しむようにしてて。
試合の勝ち負けについても、自分がガッツリ楽しんで負ける分には、口惜しさはあっても悔いはないようにしています。

イノウエ

勝ち負けとか、優越ではなく、自分が納得したうえで楽しむことを大切にしてるんですね。

大橋さん

そうですね、僕は、お金を稼ぎたいとか有名になりたいとかもないので、これからも楽しくサーフィンを続けられたら、それが幸せなんですよね。

イノウエ

この先も変わらずに、サーフィンを続けるためにも、お金や生活の問題そこに対する不安や苦労はないんでしょうか?

大橋さん

自分にとっては、好きなサーフィンができなくなることが一番嫌なんで、それをするためなら、どんなことでもできると思います。
「これができれば、こんな楽しいことが待ってる」と考えたら、辛くても我慢して頑張れちゃうと思いますけどね(笑)。

まとめ

まだ記憶にもない頃に始めたサーフィンは、技術の進歩によって道具も環境も大きく変わり、初心者の方でも気軽に始めやすくなったのだと思います。
好きなことを続けるためであれば、目の前の高い壁も乗り越えられると教えてくれた大橋さん。
「大切なことはお金じゃない」、自分の好きなことをこれから先もやり続けることが1つの幸せなのかもしれません。

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