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G-lip 男の“気になる”を刺激するメディア

「育児が男を成長させる」イクメンはもう古いと思います

私たち 2019.08.27 by G-lip E 編集部

厚生労働省が「イクメンプロジェクト」を立ち上げて約10年。

”イクメン”という言葉が浸透し、男性も育児をすることが当然となっていきているが、今の20代男性からは、ズレた景色に見えていることもあるようだ。

そこで、二児の父親であり、子育てにも積極的に参画するという通称「イクメン」であるゴリラクリニック総院長の稲見文彦先生と、これから伴侶を探し、夫となることを夢見る20代代表として”編集部イノウエ”が子育てについて本音で意見をぶつけ合ったこの企画。

父親を前にした方に向け、気付きや学びをお届けします!

〈インタビュアー:イノウエ〉

「イクメン」の普及で社会の目が変わった?

稲見

イノウエさん、まだまだ若いし未婚だよね?

イノウエ

僕はまだ社会人3年目で、結婚していませんけど、結婚している友人もいますよ。

稲見

ということは20代前半だから、結婚というと、かなり早いんじゃないかな。いわゆる「でき婚」なのかしら。

イノウエ

稲見先生、でき婚じゃないですよ。
ダブルハッピー婚って言うんですよ(笑)

稲見

最近はそういうんだった、年齢がバレるね(笑)。
僕は「ダブルハッピー婚」、大いにアリだと思うね。

医療法人社団十二会ゴリラクリニック総院長稲見文彦(いなみふみひこ)東邦大学形成外科学教室入局、大手美容形成外科院長を経て、ゴリラクリニックの総院長を務める。日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)に所属。趣味はロードバイク、乗馬で知り合った奥様との間に2児を授かるイクメン医師。

イノウエ

稲見先生はスタッフさんにも「イクメン」って言われていますけど、育児には積極的に参加しているんですか?

稲見

もちろん参加してますとも。子供の朝ごはんは僕の担当だし、幼稚園と学校に送ってから出勤してる。
子供が赤ちゃんの時は母乳を出す以外のことは全部やったぞ。
イノウエさんも僕を見習うようにね(笑)

イノウエ

いきなりハードルが高いです(笑)
ただ、僕の世代からすると 「イクメン」は普通のことかな?って思うんですよ。
昔はそんなこと無かったんですか?

稲見

昔はね、「赤ちゃんを抱っこしてると『奥さんに逃げられたみたい』で ”恥ずかしい”からイヤだ」なんて平気で言う男性がいたりしてね
男はとにかく”仕事が一番”大事と考える人が大多数で、「24時間戦えますか?」なんてCMのドリンク剤があった時代だから。

イノウエ

今でいうところの「超ブラック」ですね(笑)

稲見

そうだね、それを今の時代に言ったら「働き方改革」に真っ向から逆らうよね。
それに、あの頃を過ごしてきた人たちから見れば、男性が育児休暇を取得することは”おかしいと”思われることがあるからね。

イノウエ

まだ男性が育児休暇を取りにくい世の中だと思うんですが、それでもずいぶん変わってきているんでしょうか?

稲見

少しずつだけど変わってきているね。本当は男性だって育児に”参加したかった”んだと思うよ。
この数十年でさまざまな状況が変わって、パパたちは背中を押してもらえた。特にこの10年の変化は大きいよね。
今は育児のために会社を休んだとしてもポジティブに見てもらえる。私たちはとても幸せな時代に生きているということだと思う。

イノウエ

そうなんですね。そしたら「イクメンプロジェクト」は成功したと考えて良いんでしょうか。

イクメンをはき違えている人が出てきた

稲見

たしかに男性の育児参加が推奨されてきたのは良いと思うし、プロジェクトは成功したと思う。
でも、最近ちょっと気になるのは「勘違いイクメン」が増えてきたことかな?

イノウエ

「勘違いイクメン」?初めて聞きました。

稲見

男性が育児に参加すること自体は素晴らしいことだけど、それは本当だと当然のことじゃん。
それを変にアピールするのはちょっと違うと思うんだよ。
僕は「イクメン」って言葉が独り歩きしてるようにも感じてるね。

イノウエ

確かに「イクメン=良い夫」みたいなイメージありますね。

稲見

イノウエさんの友人に、育児を手伝わない男性はいる?

イノウエ

いや、Instagramで子供と遊んでる動画をアップしてたり、一緒に寝ている画像を見てたりすると、みんな「育児もやっているんだ」と思いますね。

稲見

最近では育児しない男性は「育児(意気地)なし」なんて呼ぶらしいけどね(笑)
その点あって、僕はあんまり「イクメン」とは呼ばれたくないかな。なんかくすぐったいし違和感があるんだよ。

イノウエ

先生が感じている違和感って具体的にはどんなことですか?

稲見

育児する男性をイクメンと呼ぶ、これは別に構わないんだけど。「イクメン」と ”呼ばれたいから”子育てに参加する、または参加してる「っぽい」ことをするのはNGかな。
「俺ってオムツ替えるんだぜ!けど大きい方はムリ!」というのはおかしい気がするね。

イノウエ

それは、ちょっとイクメンって感じではないですね(笑)

稲見

そう。あとSNSで発信することでもない気がするんだよね。
外出するとやたら抱っこを手伝ったり、荷物を持つパパもいるみたいなんだけど、子育てって”いつでもやるもの”でしょ。
自分がやりたいときだけやるもんじゃないよね。

イノウエ

SNSでの発信は、自分の友達や、 普段は会えない両親に、子供の成長を一緒に楽しんでもらうことができるので、僕はアリだと思いますけど。

稲見

SNSをそういう使い方するのは面白いね!
繰り返すようだけど、男性が育児に参加するようになったことは、とても良いことだと思う。
でも、それはやっとスタート地点に立ったことに過ぎない気がするかな。そこを勘違いしているイクメンが少なくない、僕が感じる違和感はソコなんだよ。

子育ては一人前の男にしてくれる

稲見

それに働きながら子育てをするって、いろいろと大変なことが多いんだよね。

イノウエ

僕はまだ想像出来ないですけど、今も自分のことで精一杯で(笑)

稲見

それはみんな同じだよ(笑)
「自分のことも満足にできないのに、子育てなんてできるのかな…」と、初心者マークのパパたちはみんなそう思ってる。
でも、子育ては男にとってすごく 勉強になることが多いんだよ。

イノウエ

子育てが勉強になるとは、どういうことですか?

稲見

例えば、赤ちゃんが泣いたとする。親は必至で原因を考えるよね。おむつを替えて欲しいのか、お腹が減ったのか、眠いのか、とかね。相手の立場に立って考えるってのは人生の基本、当然仕事にも役立つ。
もちろん自分の時間は激減するから、自然と効率化を考えるようにもなる。
仕事だったら終わりがあるけど子育てには終わりがないからね。
さぁイノウエさん、パパになる覚悟はできた?(笑)

イノウエ

ぜんぜん無理です(笑)

稲見

そうだよね(笑)
でも、赤ちゃんはこちらの都合は考えてくれないからね。100%の面倒見てあげないと生きていけない。どんなに仕事で疲れていようが眠かろうが、育てなければならないんだよ。

イノウエ

育児は24時間年中無休ですもんね。ママの仕事を年収換算したら〇千万円、とか聞いたことあります。

稲見

赤ちゃんだけでなくママのケアも必要なんだよ。理不尽なこともグッと耐え、話をよく聞いてあげる。これも十分に仕事に活かせることだと思う。
それに、子供は親を真似て成長するからね。親が子供と向き合い、受け止めてあげると優しくて気遣いができる子供が育つ。親がいつもキレてると子供もキレやすくなる。これが僕の持論かな。

イノウエ

親の言葉遣いが悪いと、子供も言葉遣いが悪くなるって言いますよね。

稲見

自分たちが使ったことのない悪い言葉を、どこかで覚えてきてビックリするって言うのもあるけどね(笑)

イノウエ

上司の仕事を見て部下が仕事を覚えるのに、どこか似ているように思います。

稲見

人に何かを教えるって、自分が教える内容をとことん理解していないと教えられない。だからすごく勉強になるよ。
子供に箸の持ち方教えるときは、自分は利き手じゃない方で箸を持って一緒に練習したこともあったし。学ぶことの大切さ、楽しさ、できないことができた時の嬉しさ、そういったことをまるっと追体験できる。だから子育てって面白い。

イノウエ

今はまだ、「子育てって大変そう」と感じています。
だから「働きながら子供を育てる俺ってスゴイ」とアピールする気持ちも分からないでもないです(笑)

子育てに職業は関係ない

イノウエ

いろいろお話を伺って思うのは、「医者だから余裕あるんでしょ?」というところなんですけど。

稲見

「余裕がある」と感じたことはあまりないな…。
特に「イクメン」については関係ないよ(笑)

イノウエ

どういうことですか?

稲見

医者の労働時間が多いって聞いたことあるでしょ?患者さんから診察を求められたらベロベロに酔っぱらっていても診ないといけない、なんて法律で決まってたりするからね。
労働時間に関して言えば、かなりブラックなんだよ。

イノウエ

聞いたことあります。だから仕事しながら子育てする大変さは、医者も会社員も変わらないってことですか?

稲見

そうだね。まず「定時」という考え方がないからね(笑)。
土日は休みとされているけど、まぁ休みなんてあってないようなモノだから。
僕は育児にも参加したいと思っていたから、それで急患や当直が基本的にはない美容クリニックへの転職を考えた。
僕が知ってるイクメンドクターは、やはり美容系ドクターがほとんどだから。
その事も知ったうえで、一般診療科で働くママドクターのことは本当に尊敬してますよ。

イノウエ

一般病院の勤務では患者さんの容態によって呼び出しとかもあるんですか?

稲見

そう、だから「医者だから育児の余裕がある」というのは間違いかな。それに奥さんに言われる小言だって変わらないと思うんだよね(笑)

イノウエ

そうなんですか?
収入が高かったら文句のつけようもないと思いますが…

稲見

そんなことはないよ(笑)
ウチの場合は「ソファで寝るな」「野菜を食べろ」「いい年して短パン履くな」が日常茶飯事です。

イノウエ

普通の会社員と同じですね(笑)

稲見

イノウエさんの世代だと、共働きは普通のことだろうし仕事も子育ても協力が欠かせないよね。

イノウエ

そうですね、専業主婦って友達はいないと思います。

稲見

女性は子育て、男は仕事。そんな世の中はとっくに終わってる。ワーママもイクメンも、もはや当たり前なんだよね。
「昔は育児する男性のことを『イクメン』って呼んだんだよ」「へー、変なの」そんな会話を子供とすることを僕は夢見ているかな。
僕は 「イクメンなんてもう古い」と大きな声で言いたいんだよね。

イノウエ

今日は、20代の代表としてお話を伺いました。とても良い刺激になりました。稲見先生ありがとうございました。

稲見

こちらこそありがとうございました。

まとめ

今日も、二人のお子さんの育児をしている稲見先生との対談は、学ぶものばかりでなく、今の社会が育児に対してどのくらいバックアップしてくれているのか知る機会となりました。

しかし地域によって、保育所問題、医療費など大きな課題はまだ残るものの、以前に比べ男性が育児にもっと参加しやすくなってると聞くことができました。

家事代行サービスやベビーシッターサービスも増え、育児と仕事の両立もできる時代に変わってきたのではないでしょうか。

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